相殿の神々

2015年01月04日 09:38

延喜式神名帳に「…三座」とあるので、この神社はその頃から天照御魂神ともう二柱の神を祀っていたことは確かです。では、延喜式のいう、もう二柱の神ってどなた? 明らかであるという歴史家もよくわからないという歴史家もいらっしゃいます。

現在、私たちがこのお社に祀っている(と、先祖から伝えられている)のは天児屋根命(あめのこやねのみこと)と建御名方命(たけみなかたのかみ) です。

天児屋根命(あめのこやねのみこと)  (春日権現、春日大明神)

お社向かって右(東)側です。社には鹿が彫られていてここに鎮まっておられるのが春日権現であることを示しています。

○神話では、岩戸隠れの際、岩戸の前で祝詞を唱え、天照大神が岩戸を少し開いたときに鏡を差し出した…という配役。天照大神が思わず岩戸を開いてしまったくらい宴席を盛り上げた踊り手の神様ばかり有名ですが、彼女をノリノリで踊らせた歌い手の技量、芸術性も凄かったはず。

○天孫降臨の際瓊瓊杵尊に随伴し、中臣連などの祖となったとされています。歴史的にここ茨木は中臣氏(のちの藤原氏)の荘園が多く、阿武山には中臣鎌足が埋葬されたと考えられる古墳もあります。藤原氏の氏神であった春日権現(奈良の春日大社が有名)を祭る神社はこの地域に多いので、藤原の一族が、祀り始めたのかも知れません。

建御名方命(たけみなかたのかみ)  (諏訪明神)

お社向かって左(西)側です。社には鳥が彫られています。
○『古事記』の葦原中国平定(国譲り)の段において、大国主神の御子神として登場します。建御雷神と力くらべして敗れ、国譲りが決定するというちょっと辛い役回り。
○この神は多様な姿をとって人々の前に現れます。軍神、また農耕神、さらには狩猟神。風の神ともされ、元寇の際に神風を起こしたのが諏訪の神だという伝承もあります。冶金、製鉄の神であるとする説もあり、自然現象から農業・工業までほぼ万能。古事記での配役と、信仰がうまくつながりません。古事記を編纂した勢力が忘れさせたかったくらい強力な古代の神であったという話もどこかで読みました。諏訪神党とされる一族の氏神でもあります。

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